Profile
1938年生まれ、女子美術大学卒業。パリで美容を学んだ後、三宅一生、ディオールらの国内外のショーなどでヘアメイクを担当。現在は娘の美木 ちがやさんとビューティーサロン「KAWABE LAB」を運営している。
大人の女性たち、
気持ちを上げて、
自信を持って生きましょう。
85歳を迎えた現在も美容家として活躍し、多くの女性に大人の美容やメイクアップなどをアドバイスをしている川邉サチコさんに女性の生き方について伺いました。

私は仕事上、大人の女性と接する機会がありますが、50代以上の皆さんは「キレイでいたい」と心から願っている方が多いな、と感じます。ところが、なぜか一歩前へ踏み出せない。私のサロンにいらっしゃる方も「キレイになるために、自分ではどうしたらいいのかわからない」とおっしゃるんです。

私が女性たちに伝えたいのは「肌は、あなたの大切な財産よ」ということ。
パーティーなどの予定があるとき、美容院には行くけど肌のお手入れやメイクは自己流という方、多いですよね。しかも20代と同じやり方をずっと続けていませんか。ホルモンバランスが変化する50代に合うケアが何か、気づかないままかもしれません。

いまの自分に必要なお手入れをきちんとした結果、「肌がキレイ」「若々しいわね」と誰かに言われたら、ものすごく自信になるはず!「肌は、財産」。このことをもっと多くの女性に知ってもらいたいと思います。

ヨーロッパに初めて行ったときのことです。若い女性たちが、すっぴんなのにマスカラだけしっかりしているの。理由を尋ねると「祖母に、金髪の人は顔がはっきりしないからマスカラだけはしなさい、と教わった」と話すんです。

みんな、祖母や母から化粧水のつけ方や、アイメイクなどを教えてもらうんですって。美容の基本を家庭で学ぶ習慣があることを知って、感心したものです。

自己流のお手入れ、メイクを続けて、いまの自分に自信が持てない日本の女性は、美容の基本を知らないまま成長したのだと思います。お稽古ごとでも、まずは基本からしっかり習うでしょう?私は40代から本格的に水泳を始めました。

そこで、プロのコーチからレッスンを受けたんですが、まず教わったのは正しい呼吸法でした。これをしっかり習得したら、楽に泳げるようになって、びっくり。「何ごとも基礎が大事」って思い知りました。

「私の仕事は、お客様の気持ちを上げて、自信をつけてもらうこと。それがとっても大事なの」と話す川邉さん。
いまからでも遅くない。
美容の基本を身につけましょう

美容だって同じこと。基本をしっかり知っていれば、年齢を経て身体が変化してもアレンジができるのよ。髪の毛のボリュームが減ってスタイリングがしにくかったり、目元にシワが増えてアイラインが引きにくくなっても、美容の基本がわかっていれば対応できるんです。

自己流の美容法を続けてきた皆さんは、ぜひ一度、基本を学ぶ機会を持ってほしいと思います。迷い続けることは、人生で無駄な時間を費やすということ。基本を知るのは生きるコツなのよ。

私は、母を亡くしたときに「世の中で、自分のことを真面目に考えてくれる人は、母しかいなかった」ということに気づきました。その母はもういないのだから、これからは自分で自分を大事にしなければいけない、と思ったのです。自分を大事にする、自己愛を強く持つためには、身の回りをきちんと整え、感性を磨いて、自分自身を成長させなければ。いまは、その先、さらに何が必要だろうって常に考えています。

愛犬ココと一緒に過ごすのも、川邉さんの大切な時間。

来年、私は86歳。母が亡くなった年齢になりますから、さすがに片づけをしないとまずいと思って、終活を始めたんです。でも3日目くらいに「死に向かって何かしている私って、どうなの?ばかばかしい」って気づいちゃったのね。「明日死ぬかもしれないのに、こんな無駄なこと、もうやめた」って。そこで、終活終了(笑)。だって、まだまだやらなきゃいけないことがあるんだもの。もちろん、新たに挑戦したいこともいっぱいありますよ。いま、中国の水墨画を描きたいと思っているの。まずは筆を使う基本をしっかり身につけるために、お習字を学び直したんです。終活なんてしなくても、今日という日をきちんと生きていく、それが大切じゃないかしら。

大人の女性たち、
これから自分の総仕上げを!

生きているって、神様から与えられた尊いこと。何もしないで毎日を過ごすのは、よくないと思うんです。女性は「ある年齢を過ぎたら、もう終わり」なんて考えちゃいけないのよ。私は、「これから、自分自身の総仕上げをすればいいじゃない」と、よく話すんです。自己愛を強く持って、自分を磨いていく。それはその人だけでなく、周りの人も幸せにすることだと思います。

Message from Sachiko 大人の女性たちへのメッセージ
「ある年齢を過ぎたら、
もう終わり」なんて、
考えちゃいけないのよ。
これから、自分自身の総仕上げを
すればいいじゃない
  • 人差し指と中指の間に耳が挟まるよう、Vの形にします。
  • その手をフェイスラインに当て、あごから耳へ向けて5回上げます。
  • 両手の平を小鼻の脇から頬にぴったり密着させます。
  • 顔の中心から外側に向かって3回ゆっくり滑らせます。
  • 最後に、耳の下から鎖骨に向けて、リンパを流すように、手のひらを首に密着させてゆっくり滑らせます。
教えてくれたのは

「KAWABE LAB」
4代目美容家・トータルビューティデザイナー
美木 ちがやさん

1963年生まれ。自身のサロンで、一人ひとりの個性に合ったメイク、ヘア、ファッションなど母サチコさんとともにトータルな美を提案。

若い世代のファッションアイテムを
取り入れるときのポイントは?
私は1点主義。
上から下まで、トータルで
取り入れないことね。
私は、とってもパクリ上手なの(笑)。でも、取り入れるときは1点に絞るようにしています。だって、すでに自分のファッションのスタイルはあるわけだし。靴やバッグなど小物を合わせるだけで雰囲気は変わるのよ。
食生活のこだわりや、
気をつけていることはありますか?
美容の基本は、食べること。
まずはそれを
大切にしています。
毎朝、ヨーグルトにコラーゲン、はちみつ、シリアルを添えていただきます。もちろん、起きてすぐの洗顔も大切ですが、なぜか我が家の犬、猫、植物の世話を先にしちゃうの(笑)。自分以外の生き物が優先ね。
これだけは欠かせない
美容習慣はありますか?
ヘアブラシで、しっかり
頭皮マッサージを
しています。
動物の天然毛を使用したヘアブラシを使って頭皮マッサージをしています。このヘアブラシは、私の基本アイテム。頭皮を傷つけにくいのがポイントなのよ。
「素敵だな、魅力的だな」と
思うのはどんな女性ですか?
自分をしっかり持っている
女性は素敵だし魅力的ね。
これまで出会った女性の中で、素敵だな、と思った人はたくさんいるわよ。それは、やっぱり自分というものをしっかり持っている人。どんなに美しい人でも、自分自身をしっかり持っていないとね。